2013年12月

 自民・公明両党は12月12日に、来年度以降の税制改正の原案となる平成26年度の税制改正大綱を決定しました。その中で、いくつかポイントとなる部分をご紹介します。

■給与所得控除の見直し。平成28年より給与等の収入金額が1,200万円を超える場合の給与所得控除の上限が230万円、平成29年より給与等の収入金額が1,000万円を超える場合の給与所得控除の上限が220万円となります。

■消費税簡易課税制度の見直し。平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、金融業及び保険業のみなし仕入れ率が現在の第4種事業(60%)から第5種事業(50%)、不動産業のみなし仕入れ率が現在の第5種事業(50%)から第6種事業(40%)に変更となります。

■ゴルフ会員権等の損益通算等の廃止。主として趣味等の目的で所有するゴルフ会員権等が、平成26年4月1日以後に「生活に通常必要でない資産」の範囲に加えられ、譲渡損を他の所得と損益通算及び雑損控除を適用することができなくなります。

■NISA口座の金融機関変更が緩和。現行では、NISA口座を開設した金融機関は最長4年間変更できませんが、金融機関を1年単位で変更できるようになりました。

■復興特別法人税の1年前倒し廃止。現行では、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間に開始する事業年度が復興特別法人税の対象となっていましたが、1年前倒しとなり平成26年3月31日までの期間に開始する事業年度までが対象と変更になりました。

■交際費課税の緩和。大企業は、現行では交際費は損金になりませんでしたが、交際費等の額のうち飲食のために支出する費用の額の50%は、損金と認められることになりました。ただし、社内接待費は除かれます。中小企業の交際費の損金算入については、飲食費の50%か現行の800万円までの定額かのどちらかを選択できるようになります。

■自動車取得税が軽減及び廃止に。自動車取得税は消費税率8%への引上げ時に、自家用自動車については5%から3%、営業用自動車及び軽自動車については3%から2%に引き下げられます。また、平成27年10月に予定されている消費税率10%への引上げ時に廃止されます。代わりに軽自動車税が増税となり、自家用乗用車は現行7200円が1.5倍の1万800円となります。自家用乗用車以外の軽自動車は約1.25倍に引き上げられます。

 自分または家族の医療費を一定の金額以上支払ったとき、所得税及び住民税が減税になる、医療費控除という制度があります。

 この場合の家族は、同居している家族など生計が同じ家族です。別居していても、仕送りをしている家族の場合は含まれます。

 計算単位は1月1日から12月31までの暦年です。実際に支払った医療費が対象で、年末で未払いの医療費は含まれません。医療費からは、生命保険などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費などの金額を、治療に応じて引いて計算します。医療費控除の適用を受けるにはその領収書などが必要になりますが、交通費に関しては必ずしも必要ではありません。

 一般的には、医療費の合計額が10万円を超えたときに医療費控除の対象となります。総所得金額等が200万円未満の場合は、医療費の合計額が10万円を超えなくても総所得金額等の5%を超えたら医療費控除を受けられます。総所得金額等が100万円の場合、医療費の合計が5万円を超えたら医療費控除を受けることができます。

 医療費控除の対象になる医療費は、原則的に医師等による診療又は治療のための支出です。健康や美容のための支出は対象になりません。以下に医療費控除の対象になる支出とならない支出を例示します。判断が難しい場合が多いので、詳細はご確認ください。

■医療費控除の対象になる支出
通院や入院のために必要なバスや特別な場合のタクシー代などの交通費、通院のために必要な付添人の交通費、虫歯の治療、総入れ歯の費用、子供の歯列矯正、市販の風薬の購入、禁煙治療、レーシック手術、下痢止め剤購入、精神科医の治療、分娩費用、医師の処方に基く漢方薬の購入、柔道整復師による治療のためのマッサージやはり代、寝たきりの人のおむつ代でおむつ使用証明書などの証明書類のあるもの、治療を受けるために必要な松葉づえの購入費用、健康診断等で重大な病気が発見され引き続きその病気の治療を行った場合の健康診断等料金

■医療費控除の対象にならない支出
美容整形手術費用、脱毛費用、疲労回復のための栄養ドリンク購入、インフルエンザ予防接種、うがい薬購入、個人の希望による差額ベッド代、快気祝いの費用、健康管理のための血圧計等の購入費用、乳幼児のおむつ代、湯治の費用

 11月29日(金)付の日経新聞に、政府が来年度から「ゴルフ会員権等の売却で生じた損失を損益通算の対象としない」検討に入ったとの記事が掲載されました。

 現在の所得税法では、個人が所有のゴルフ会員権を売却して損失が出た場合、他の資産の売却益があればその売却益と相殺し、それでも売却損が残った場合は、一時所得や給与所得、事業所得など他の所得と相殺(損益通算)して節税が可能です。

 この損益通算は、別荘など「生活に通常必要でない資産」の売却損には適用されません。今回の検討は、ゴルフ会員権もこの「生活に通常必要でない資産」に含めて、売却損を損益通算できないようにして節税を防止しようというものです。

 なお、「生活に通常必要でない資産」であっても、売却損は他の資産の売却益との相殺は可能です。また、法人所有のゴルフ会員権の売却損は認められています。

 過去にも廃止が検討されたものの、業界団体の反対により見送られてきた経緯があります。最終的に決定となるかは不明で、今後の動向が注目されます。しかし、改正された場合は早ければ2014年度からの実施を目指すとのことなので、売却を検討しているゴルフ会員権がある場合は、年内に売却したほうが安全かもしれません。

 節税は基本的に「売上を減らす」か「経費を増やす」のどちらかの方法となります。「売上を減らす」方法は、収益の計上基準を変更して遅らせるぐらいで多くはありません。

 「経費を増やす」方法は複式簿記の性質上、主に「負債を増やして経費を増やす」方法と、「資産を減らして経費を増やす」方法に分けられます。

 「負債を増やして経費を増やす」方法の場合、貸倒引当金を増やして(設けて)貸倒引当金繰入を計上する、未払費用を増やして経費を計上するなどの方法があります。

 「資産を減らして経費を増やす」方法の場合、回収不可能な売掛金を減らして貸倒損失を計上する、使用できない固定資産を減らして除却損を計上する、不良在庫を処分して商品廃棄損等を計上する、含み損のある不要資産を売却して譲渡損を計上する、現金を減らして経費を計上するなどの方法があります。

 ただし、いずれの方法も一定の要件を満たしていないと認められないので注意しましょう。

 「現金を減らして経費を計上する」方法の場合、節税になるからと安易に経費を支出すると資金繰りや安全性が悪化します。税金を払ってでも現金を手元に残しておいたほうがよい場合も多いです。

 会社の業績が良く予想より利益が出たとき、「現金を減らして経費を計上する」方法に、従業員に決算賞与を支給する方法があります。実効税率が40%の場合、100万円支給することで税額が40万円減少するので、決算賞与の40%を税金が代わりに負担してくれる、と考えることもできます。

 ただし、決算賞与を経費に計上するには、原則として決算日までに支給する必要があります。決算日後に支給する場合は、次の3つの要件を満たす必要があります。

①支給額を各人別に、同時期に支給を受ける全ての従業員に通知していること
②決算で決算賞与を未払金として計上していること
③通知した従業員全員に、決算日の翌日から1月以内に実際に支払っていること

 なお、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合には認められません。明確に規定と通知の事実を証する書類が必要になります。

 会社の節税にもなり、従業員のモチベーションアップにもつながりますので、現金を使う節税の中では良い方法でしょう。予想より利益が出たからと役員に臨時の決算賞与を出しても、税法上の経費として認められません。

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